文化・芸術

2009年3月19日 (木)

葉隠れ

 「武士道と云ふは死ぬことと見つけたり」……『葉隠』

 これは江戸時代の武士の心得を示した言葉であるが、現代においてはシンボリックな意味しか持ち得ない。軍国主義の時代ならいざ知らず、21世紀の現在ではこの言葉は実生活に対して意味を持ち得ない。
 尤も、10年程前まで一部の学習塾では、「死ぬ気で勉強する」という姿勢で子供たちを受験へ立ち向かわせていた。だが、得点を稼げば入試には合格するのであり、また目標は入試に成功することであって、死ぬことではない。スポーツのトレーニングにも、同様なことが言えよう。

 ところで、「死ぬ」といえば、既に報道されているように、アメリカで或る上院議員が妙な発言をしている。以下に少しばかり引用してみる。例によって、ソースはAP Associated Press であるが、全文はこちらのページになる。


Iowa Sen. Charles Grassley suggested that AIG executives should accept responsibility for the collapse of the insurance giant by resigning or killing themselves.
アイオアの上院議員チャールズ・グラスレイは、AIGの高給取りたちに保険業の巨人が凋落した責任を受け入れて、辞職するか自らの命を絶つように提案した。

"I suggest, you know, obviously, maybe they ought to be removed," Grassley said. "But I would suggest the first thing that would make me feel a little bit better toward them if they'd follow the Japanese example and come before the American people and take that deep bow and say, I'm sorry, and then either do one of two things: resign or go commit suicide.
「私は提案する、ご存知のように、明らかに、おそらく彼らは除去されることになるであろう。」とグラスレイは言った。「だが、私が始めに提案するのは、彼らが日本の例に倣ってアメリカ国民の前で深々とお辞儀をして、申し訳ありませんと言い、そして辞職をするか自殺をするかの二者択一をしようとするならば、彼らに対する私の感情が幾らかでも良くなるそのことである。」

"And in the case of the Japanese, they usually commit suicide before they make any apology."
「そして、日本人の場合には、言い訳をする前に通常は自殺をする。」


 もちろん、現代の日本人は、この上院議員の言うように潔くはない。政治家諸氏の態度はそのことを端的に示しているが、それ以上に問題なのは、近年の日本人の自殺率の高さが借金苦や失業の増加と連関しているということである。

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